「あのぅ……」
「あっ!すーーーっかり忘れてた!君は何だっけ?」

 あまりの展開の速さにすっかり忘れていたが、そ~いえばもうひとり電波少女がいたんだった。

「え!なに?アンタ、人形じゃないの?」
「……………?」

 しかし、千歳もリリスも、未來がそこに居るのが見えなかったのではなく、しゃべりだしたことに驚いているようだ。

「人形だなんて失礼だなあ。人形ってんなら……」

 リリスの方がよっぽどお人形さんみたいだ、と言おうと思ったがやめておいたが、千歳には伝わったようだ。

「え?リリス?イヤイヤイヤ、リリスはこう見えて……」

 リリスは無表情でわかりづらいながらも、心なしか険しい表情で千歳を睨みつけていた。

「い、いやあ?、ははは……なんでもないけど、とにかく、その女、変!リリスもそう思うでしょ?」
「彼女には……生体 反応……ない」
「よね?そーよね?私達に生体反応を感じさせないなんて無理なハズ」
「何言ってんだよ。それよか君たちこそ何者なんだよ」

 変ではあるにしろ、どう見ても未來のほうがまともに見える。

「なに?あんた、そ~いう趣味なの?」
「な!なんだよ!そういう趣味って!」
「趣味は趣味よ!お人形さんごっこが好きなんでしょ!」
「な、何言ってんだよ!あらゆる意味で失礼だよ君は!もういい!出てってくれよ!」

 すると千歳の顔が歪んだ。

「いいわ。アンタ、服を脱ぎなさい」

 何を思ったのか千歳は未來につめよっていった。

「は?だから千歳!オマエが出ていけよ!」

 リリスがいるからなのか、さっきまで刺されるままにしておこうと思っていたのに、俺にしては珍しく感情をそのまま言葉に出してしまった。
 が、それはどうやら千歳には逆効果で、彼女の感情に火をつけてしまったらしい。

「リリス、ソイツ捕まえといて」
「わかった………」

 しかも仲間だと思っていたリリスまでが未來の背後に立ち、彼女を羽交い締めにした。

「え!ちょ、やめろよ」
「子供は引っ込んでなさい!」

 千歳に突き飛ばされると千歳の背中越しに未來が脱がされてゆくのが見えた。未來も特に抵抗する様子もなく、されるがままだった。

「なによ、アンタ、この体は……」
「え?何が?」
「だーかーらー!子供は引っ込んでろ!」

 立ち上がろうとした俺はまた千歳に突き飛ばされた。起き上がった時にはすでに未來は服を着てしまっていた。

「リリス……アンタはどう思う?私はコイツをこの場で破壊してしまうべきだと思うケド?」
「破壊ってなんだよ!物騒だし可哀想じゃないか!」
「はあ~?アンタ、ほんとに知らないの?ホラこれよ!」

 千歳はまた、未來のブラウスの前のジッパーを下ろし、前をはだけさせた。今度は俺に見えるようにだ。

「そ、そ、その胸がなんだって言うんだよ!いい加減にしろよ!」

 そこには透き通るように白い肌に、小ぶりながら形のいい胸があった。

「あ!え?何これ?なんなのよ!」
「擬装ね……かなり高度。よくできている……人形」

 リリスもその肌をみて少し驚いたような顔をした。

「でしょ!危ないわよコイツ。ハーモニーところじゃない。生体均衡(バランス)を壊す存在よ。さあ、破壊してしまいましょ!」
「千歳……ムリ……よ。ワタシたち……の、チカラ……は、生物にしか……効かない……もの」
「ちっ」

「あのぅ~もう、よろしいでしょうか?」

 動じないままの電波系少女未來はユックリとブラウスのジッパーを引き上げた。


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