「あ!なんだよチクショー!おい、兄貴!パソコン貸してくれ!」

 家に帰ってパソコンを立ち上げようとするも、まったく立ち上がらなかった。ブルースクリーンにさえならない……ってことは……ご臨終か?ってコトで、兄貴のパソコンを借りようと兄貴のプレハブのドアを叩いた。
 が、反応が無かったので、隠し鍵を使って、ドアを開けた。兄貴のやつ、あんなにセキュリティにうるさいのに、合鍵の隠し場所はポストの下に磁石で貼り付けるというお粗末さなのだ。

「おーい兄貴…………て、あれ?えーーーっ?居ない?てか、君、誰?」

 そこには兄貴の姿はなく、一人の少女が座っていた。緑がかった青い髪をどこかで見たことがあるようなツインテールにしている。しかし、見知らぬ少女がいるというコトよりも、兄貴がいない方が不自然だった。兄貴が家にいないなどここ数年無いことだ。

「あ、兄貴は?」
「ハルさんは行ってしまいました」

 おっと、遅ればせながら兄貴の名前はハルだ。泉谷ハル、それがこの物語の迷脇役、変人兄貴ハルだ。
 
「どこに?」
「虹の彼方に」
「は?」

 なるほど、電波系な彼女だ。

「君、名前は?どうしてここにいるの?」
「私の名前は未來。貴方のお世話をするためにここにいます」
 ええと……なんか混乱してきた。彼女の件は後にしよう。この手の輩は事実を聞き出すのにえらく時間がかかるに決まってる。

「兄貴、パソコン借りるぜー。言ったぞ?言ったからな?」
「どうぞ」
 未來とやらが答えたが、ここは無視だ。

 俺は無視してクラウドストレージにアクセスした。
「ワッフルIDを入れて……」
 と、ここで俺は気がついた。
「てかさ、ネットでスマホ追跡できたような気がする!」
 
 そうだ、最近のスマホはすげーぜ。まるでスパイ映画の追跡装置のようにスマホが追跡できるんだからな!まあ、電源入ってればだけどーと、追跡ページを開いた。

 しかし……それは新たな恐怖の始まりを告げるものだった…………


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